そのお給料正しいですか?管理監督者の給与ってどうなっているの?
今年の4月に高度プロフェッショナル制度(通称、高プロ)が導入されました。
この法律は一定の要件を満たす方に対して、企業は残業代や深夜手当の免除が適用される内容になります。ただ、導入するには非常に高いハードルであり、殆どの企業はまだ実施していない状況です。
私が懸念するところは緩和による改正です。高プロ導入のハードルが下がったことで、気が付いたら適用されていた とならないようにご自身の労働契約内容はしっかりと把握するように努めましょう。
今回は高プロのように残業代が適用されない管理監督者のケースを確認しましょう。
管理監督者について
昇進で課長等の役職がつくと管理監督者に相当することがあります。皆さまの会社では管理職と呼んでいるかもしれません。
管理職の方は労基法において以下の内容が適用されないと明記されています。
労働基準法41条
労働時間、休憩及び休日に関する規定は次のいずれかに該当する労働者については適用しない
要するに残業時間の要件や休日出勤の適用をしなくてもよい という内容です。
では、管理職は全員残業代が適用されなくなるのか という疑問が生まれるかと思いますが、決してそうではありません。管理職に該当するか否かは、次の四つの項目が判断の基準となります。
- 職務内容
- 責任と権限
- 勤務形態
- 管理職にふさわしい待遇
それでは、各項目を解説していきましょう。
職務内容
一般的に管理職のお仕事は、現場仕事ではなく、部下の育成や作業の効率化などのマネジメント業務になります。役職がついたにもかかわらず、作業内容はあいかわらず現場仕事だけの場合は管理監督者の要件を満たしていない可能性があります。
責任と権限
部下の採用や配置を任されているか がポイントになります。これらの権限が人事担当者やさらに上の役職にある場合は、要件を満たしていない可能性があります。
勤務形態
労働基準法41条を再度確認してください。この法律は残業時間の管理が適用されなくなるだけではなく、遅刻や早退などの時間管理の適用が除外されるものになります。
要するに役職者は遅刻や早退をしても給与が天引きされない ということです。
給与明細を確認してみてください。もし、管理職にもかかわらず、遅刻や早退で給与控除されていることは法律違反の可能性が非常に高いです。
また、具体的な出社時間が指示されている場合についても、管理職の要件を満たしていない可能性があります。なぜなら、管理職は労働時間の管理の適用が除外されているためです。指示を受けている場合は管理職の要件を満たしていない可能性があります。
管理職にふさわしい待遇
先ほどにも記載しましたが、管理職はマネジメントがメインのお仕事になります。作業量が増えますし部下の管理や人事評価などのお仕事も加わるので、精神的な負荷も一般職の方よりも大きくなるでしょう。
当然、一般職よりも待遇はよくしなければなりません。給与の面において、待遇がよくなければ管理職の要件が満たしているとはいえない可能性があります。
会社によって給与水準が異なるため、具体的な管理職にふさわしい金額は決まってませんが、1時間当たりの給与金額が一般職時と大きく変化がない場合は要注意です。
管理職になってもご指針の在職時間はしっかりと記録しておくことをおすすめします。
以上の四つの要件を満たしていることが必要とされています。
もし、一つでも当てはまらない場合があれば管理職に当たらない可能性があり、一般職とみなされることで残業代等が請求できるケースがあります。いわゆる「名ばかり管理職」ですね。
名ばかり管理職の判例
- 穂波事件
こちらは飲食店店長が、管理職に該当しないとして割増賃金を求めたものになります。判決としては原告である店長さんは労基法の「管理監督者」に該当しないものとし、裁判所は割増賃金の支払いを会社に命じました。
管理監督者に当たらないとされたポイントは①店長さんには管理職としての手当である「みなし残業手当」が支給されていましたが、時間単位で賃金総額を見ると管理職相当の待遇でなかったこと。②管理職が担当すべき重要な職務と権限を付与されていなかった という二点です。
このように飲食店や小売店などは名ばかり管理職にあたるケースの判例が多く確認できます。
まとめ
残業代が支給されない ということはいくつもの条件をクリアしたうえで適用される労働条件になり、誰もが適用できる勤務条件ではありません。このブログを見た方も、ご自身の待遇を四つのケースに当てはまるか確認していただければと思います。
後々のためにも給与明細や勤務表、労働条件通知書はお手元に控えておきましょう。
もし、疑問に思うことがあれば、私までご相談ください。m(__)m
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